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自社で試して体験した、小規模企業のマーケティングとの向き合い方
今回は自社のマーケティング活動に取り組んでみたリアルな体験をまとめていこうかと思います。もちろんマーケティングという言葉から連想されるような施策だけを行なってきたわけではありません。顧客にフィードバックをいただきながら研鑽していった小規模企業のマーケティング実務です。
その前に、マーケティング戦略の考え方や顧客理解の重要性については以下をご参照ください。
株式会社kumuのメインターゲット
本題に入る前にまずは我々のマーケティング施策に関して簡易的にご説明いたします。
kumuはマーケティングとブランディングを一気通貫で支援するデザイン会社です。
ターゲットは主に関西圏の中小企業。業種は主に製造業で売上の傾向でいうと1-10億円規模の企業とプロジェクトを立ち上げることが多いです。当初はBtoCに絞っていましたが、事業を立ち上げた早い段階でBtoBのお問い合わせもいただき今はビジネスモデルには制約を持たせておりません。
上記の条件に該当する企業であれば、kumuとして安定して高品質なサービスをご提供できると考えています。また、業種は違えど売上規模がこの圏内にある企業には多少共通する課題がございます。
そういった経験も含めてサービスに反映しております。
このあたりがいわゆる「STP分析」の領域かと思います。
自社マーケティング戦略方針2つの間違い
弊社サイト全体を通してマーケティングのことに触れておりますが、自社対象のマーケティングに関して、大きな誤解が2つございましたのでご紹介いたします。
誤り.1|kumuの強みは機能
当初kumuは「機能売り」でした。これができます、これもできます…というように。もちろん今も説明する時に機能の部分は説明しますが、おそらく今お仕事をご一緒している企業はkumuのプレゼン資料の内容を覚えていないでしょう。
これに気づいたのは打ち合わせ前に企業の方にkumuに発注してくださった理由を聞いた時でした。
返答は「話を優しく聞いてくれたから」です。これはかなり盲点でした。BtoBサービスにおいて、機能よりも人柄が優先されるとは思っていなかったからです。
誤り.2|過去実績で信頼を得る
もう一点意外なことがありました。それは商談中に過去実績の話を聞かれないことです。
もちろん資料に入れ込んではいるので多少は伝わってはいますが、ごく僅かな表層の部分を簡略的にしているものです。
それも高価格な案件になればなるほど聞かれることが少なくなります。kumuでは制作物の成果にもこだわっていると打ち出しているのでもちろん最後に自らお伝えすることが多々ありますが…。
商談時でもサービス説明はほどほどに、個人的興味から相手の課題感や価値観みたいな部分を聞くことが多いです。
その中で「成果物のイメージはまだ湧かないけど、プロジェクトがどう進んでいくかはすごくイメージできた」と言われたことがあります。
ここがまた大きな気づきでした。物事がどう進んでいくのか、通常業務に支障は出ないか。
たしかに言われるとその通りです。成果物として完成してもその道のりに苦労が多いと成功とは言えません。疲労感だけがチームに残るでしょう。逆にどう進行していくかが分かりさえすれば社内で意思決定できることも増えるはず。こういった小さいコミュニケーションの中にヒントが含まれていました。
もらったフィードバックを方針に反映する
せっかくいただいたフィードバックをどう反映するか。結局ここが大切になってきます。kumuではこのような方針で整理しなおしました。
STPはそのままに、バリュープロポジションのコンセプトを見直す
大枠のターゲットイメージはそのままに、顧客になる企業とのコミュニケーション戦略を構築しなすところから始めました。整理にはバリュープロポジションという考え方を反映しております。
ちなみにバリューポロポジションとは和訳すると「価値の提案」顧客にとって何が価値かを客観的に捉え直し、サービス設計やコンセプト設計に落とし込むための思考ツールです。
バリュープロポジションの比較
今回はバリュープロポジションを考えるにあたって以下の書籍の流れを参考にしております。
https://amzn.asia/d/5RajR5g
いただいたフィードバックを元に、顧客へどういった価値を提供・提案できるのかをまとめました。
項目を埋める過程で不明瞭な箇所が少しずつ明確になっていきました。
一体何に反映するのか
ここまで顧客理解から、方針の見直しについて書いていきました。ではその方針をどう施策に落とし込んだのでしょう。
・サービス資料の簡素化
・コミュニケーション改善
・発信内容の方向転換
この程度です。何か新しいことを始めるわけでも、目新しい施策を立ち上げるわけでもありません。
ただ普通のことに反映するだけです。
我々はここがかなり大事なポイントだと考えています。マーケティングとは大それた施策を打ち出すことではありません。
むしろ、毎日息を吸って吐くように無意識に行っているものにこそ考えを反映すべきです。
その行動や発信の一つ一つが改善されることで、求める状態に近づくのだと考えています。
実際のkumuの案件単価が大きく上がった時も、派手な施策を投下したわけではなく、そういった当たり前のことを改善し続けた結果だと思います。
感じとり、見直し続けるために大切なこと
このようにマーケティング支援を行っているkumuでも多くの失敗と改善の中でなんとか案件をつくっております。そして、上記の体験談の中で記載できなかったものが一つございます。
それはマーケティングはあくまで「仕組みをつくること」です。
仕組みの前にまずは0から1の着火剤をつけるフェーズがございます。そしてそれは第三者やましてや我々ができるものではありません。
経営者、事業責任者自らが現場に行き、顧客の声に耳を傾け、そこから得たフィードバックを日々の活動に落とし込むのです。
もし自社だけで難しい場合はお声掛けください。実体験をベースにしたワークショップを通して整理に貢献できるかもしれません。