ブランド構築は”まだないもの”を作り出す仕事だからこそチームの足並みを揃えるのはとても大切

2024.10.22

ブランディング / マーケティング

“ないもの”をつくるために意識していること

株式会社kumuでは中小企業のブランディングやマーケティングの支援を行っております。特にマーケティング施策をしっかりと機能させるために、ブランド戦略は重要な役割を持ちます。
ブランディングとは、まだこの世にない概念を新たに提唱していく取り組みです。だからこそ、チーム内での共通認識を作ることは非常に大切です。

正しい紆余曲折を歩むための指標を作る

ブランドを作る過程において、最も効率的な手法というのは残念ながら確立されておりません。だからこそ世にはたくさんのブランディングに関する書籍がございます。それだけ戦略も戦術も複雑で多様なのです。そして、多くのブランドが消費者と繋がるためあの手この手を試しながら紆余曲折を繰り返します。kumuでもブランド構築の支援をする中でやはり避けることができないと痛感していますが、この紆余曲折には””正しい紆余曲折””と”誤った紆余曲折”があるのではないかと感じています。
この際に鍵を握るのがブランドとしての指標、いわゆるコンセプトです。コンセプトは「概念」「構想」などと和訳されることが多いですが、それをチーム内で固める必要があります。ブランディングは単なる認知を取る活動ではなく、コンセプト(概念)を消費者の方々に伝え続ける活動ともいえます。

コンセプトがないことで起こるチーム内の不協和

kumuは社外の方ともチームを組んでプロジェクトを進めることも多々あります。その中で数こそ少ないものの、暗礁に乗り上げるようなプロジェクトもございます。その際に原因を突き詰めていくと「コンセプトがない」もしくは「コンセプトが共有されていない」ことがあります。プロジェクトに関わった全ての人が自分たちのプロジェクトを成功させるために動いているはず。しかし、コンセプトと言われるいわば共通認識がないことで、お互いがどういう立ち回りをしたらいいのか、どう工夫すればよいのかの判断がつかないのです。その結果打ち合わせの場ではとっさの思いつきや発言が採用され、さらに混乱を招きます。
先述した””誤った紆余曲折””とはこういったケースを指しています。
こうなってしまった場合は時間がかかることは承知の上でコンセプトの整理に立ち戻ることが多いです。この課題を解消せずに進めた場合、さらに大きな課題に立ち向かわなければいけなくなります。

コンセプトや戦略をチームに伝える

コンセプトや戦略をまとめる時に、kumuではこういった手順でまとめることが多いです。


まずはヒアリングなどをはじめとして調査施策から簡易的に文章にまとめます。この時に必要なのが、俯瞰して文脈が伝わること。もちろん一つ一つの細かい項目は調査したり考察したりするのですがチーム共有においては全体感が伝わることを優先して最小限の情報でまとめていきます。

事業の目的を整理


さらに全体感が分かった上で事業の意味を振り返り、コンセプトに落とし込んでいきます。この資料の背景に膨大な思考回数が隠れてはいるものの、それを資料に落とし込むことはしません。このフェーズで大切なことはチームにいる各々が全体感を把握して、持ち場で工夫を凝らすことです。

戦略立案の大まかな流れはこちらをご参照ください。

戦略とは、削ぎ落として流れをわかりやすくすること

kumuで戦略をご提案する時に大切にしていることが2点あります。それは
①シンプルであること
②排除した選択肢を示すこと

シンプルでないと伝わらないし、動けない

戦略を複雑にしたり、流れを細かく定めることにあまり意味がないと考えています。それよりも、参加しているメンバーが全員言えるようにすること。それくらいシンプルで覚えやすい内容にまとめるように心がけています。業務内での日々の行動を戦略と紐づけるために、削ぎ落とされて洗練されたものでないといけません。

何を排除したかが分からないと、現場で工夫できない

逆に、シンプルすぎてどこまで解釈の幅を広げたらいいか分からないケースも発生します。なので戦略をシンプルにまとめるのと同時に、どういった選択肢を排除したのかもまとめてお伝えしています。これは戦略の話だけでなく事業のネーミングなども同様です。
シンプルな戦略だからこそ、そこからどれだけはみ出るのは大丈夫なのか、右にそれるのは?左にそれるのは?そういった工夫の余地を作るために、この選択肢はあらかじめ排除しているとチームメンバーに伝えます。この手順を怠ると今後チームメンバーが自発的に案出しをしてくれなくなります。逆にここを押さえておくと、チームメンバーの工夫に対して適切なフィードバックを送ることができます。シンプルにまとめて、かつ排除したものを伝えることがブランド構築を進める上で非常に重要になってきます。

ブランディングだけでなく、日々の打ち合わせでも使えます

今回はブランド構築を事例に、チーム内及びクライアントとの意思疎通の大切さをまとめました。株式会社kumuではこういった実践的なプロジェクトが多い分、試験的に進めざるを得ないことも多々あるのですが先述の内容を意識してチームで進行していきます。こういった話はブランディングだけでなく、日々の打ち合わせやコミュニケーションの場でも使えるのかもしれません。
株式会社kumuではプロジェクトのアウトプットだけでなくこういった過程の部分も大切にしています。

著者情報

株式会社kumu|兵庫県西宮市のデザイン&マーケティング会社

中町勇輝Nakamachi Yuki

大阪府高槻市出身。京都造形芸術大学出身。大学時代に滞在した鯖江市での「いい商品が売れない」ことへのモヤモヤを解決するため、新卒で中小企業のデザイン経営を推進する「株式会社SASI」に入社。デザインとマーケティングの目線でクライアントのブランド支援を行う。目の前の売上と中期的なブランディングの両軸を踏まえた支援を意識しながら成長に貢献。

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